2004/05
「日中韓地方交流及び地域経済発展セミナー」報告
所長補佐八坂 悦朗
去る4月26日から28日の3日間、『日中韓地方交流及び地域経済発展セミナー』を中国外交部外事管理司主催、自治体国際化協会北京事務所及び韓国地方自治団体国際化財団北京代表処共催により遼寧省大連市において開催しました。セミナーの概要を以下のとおり報告します。
【趣旨】
当セミナーは、2002年10月に日中韓3か国の首脳が署名した「日中韓三国間協力の促進に関する共同宣言」の精神、すなわち「3か国が北東アジアの経済発展を推進し、友好都市等を通じ地方政府間の交流協力拡大を行うこと」に基づき開催されたものです。また、中国政府は昨年秋に中国東北地域旧工業地帯の振興方針を打ち出しましたが、セミナーの会場となった大連市は、まさに東北地域の玄関口であり、今後の東北振興においても大変意義のあるセミナーとなりました。
セミナーは、「日中韓地方交流と地域経済発展」をテーマに開催され、中国側からは、外交部、地方政府関係者、企業関係者が、また、日本、韓国側からは、在中国の政府機関、地方政府機関、企業関係者など総勢200名以上が参加しました。
【あいさつ】
4月26日(月)の午前は、先ず主催者である外交部の李輝部長助理が挨拶に立ち、「地方交流は末端に入り、カバー面が広く、手段が柔軟であるなどの特徴を持っており、3か国の相互理解と発展に大きな役割を果たしている。北東アジアの地域協力においても3か国の地方政府積極的に参加し、共同発展を図っていきたい。また、日本と韓国の地方政府積極的に中国の東北三省との交流協力を発展させ、東北地域の振興においてともに利益を得られるよう希望する。」と述べました。
続いて、当協会の中田正昭専務理事が、「グローバリゼーションの進展により3か国の地域経済も大きな影響を受けるようになった。グローバリゼーションは人々に新たな対応を求めると同時に大いなる発展の機会をもたらしつつある。我々は3か国の自治体・地方政府の機能がお互いに異なることを認識し、また、それぞれの地域が相互に利益を受けるよう努力し、様々な分野において幅広い交流・協力を推進していかなければならいと。」述べました。
続いてあいさつに立った、韓国地方自治団体国際化財団李甲英常任理事は、「現在は地方の政策や論点に世界が注目し、我々は直接的、間接的にその影響を受けざるを得ない、まさに「地球規模で考え、地方レベルで交流する」時代に生きている。21世紀の新たな変化と挑戦を乗り切る鍵は国際交流にあり、我々は国家間交流を推進するとともに、より実質的で具体的な利益のある地方間の交流を更に積極的に進める必要がある。」と述べました。
最後に開催地元を代表して、大連市夏徳仁市長が歓迎のあいさつを行いました。
【基調講演】
セミナーはその後、基調講演に移り、中国国務院発展研究センター呂薇研究員が「東北振興戦略と政策」と題する講演を行いました。呂研究員は、「東北の振興は中国近代化建設の重要戦略である。これまで中国の発展戦略は沿海部、特に珠江デルタから長江流域地区振興を目指し、経済飛躍をもたらした。90年代末に政府は西部地区開発戦略を策定。21世紀に入り、東北旧工業基地振興戦略を打ち出した。東北旧綱領基地は良いインフラがあり、また、中国経済において重要な位置を占めている。現在、東北部は振興の大きなチャンスに直面しているが、その振興には新しい考え方、新しい体制、新たなメカニズムが必要である。具体的には更なる対外開放と非国有経済の拡大である。そのため、政府はこれまで国有企業に頼ってきた中国東北部の体制改革を進め、企業が公平に競争する市場環境を作らなくてはならない。東北振興は日本、韓国の企業にチャンスを提供している。韓東北地域の旧工業基地の改造は日中韓ともに、お互いメリットのある計画である。東北地域の産業構造と市場は日韓と補完関係にあり、相互に市場を開放することによりウインウインの局面が生じる。」と述べました。
【事例発表】
午後は、岩手県竹内重徳副知事、韓国済州道呉才允企画管理室長、中国黒龍江省張成義常務副省長、韓国亀尾市金寛容市長、札幌市田中賢龍副市長、大連市夏徳仁市長がそれぞれ発表を行いました。
竹内岩手県副知事は、岩手県の概要について紹介すると同時に県の国際交流と海外展開、特に中国、韓国方面の施策を説明し、「今後、こうした取り組みを継続し、中国、韓国からの観光客誘致を促進したい。」と述べました。
呉済州道企画管理室長は、「現在、日中韓の地方政府は国際観光交流・協力の歴史的要求に直面している。各地域の経験と問題及び知恵をお互いに共有し、共生と共存の運命共同体として相互発展を模索しなければならない。」と述べました。
張黒龍江省副省長は、「黒龍江省は、東北振興に関し、体制とメカニズムの「2つの革新」、自主発展、競争力、持続的発展の「3つの能力」の増強、装備、石油化学、エネルギー、食品、医薬、森林工業の「6大基地」の建設を目指す。日韓企業の進出を大いに歓迎する。」と述べました。
金亀尾市長は、電子産業を核に近年急速に発展する亀尾市の現状を報告し、「日中韓3か国の地域同士の交流協力は、より有利な条件を求め、時には協力、時には競争により、ゼロサムゲームではなく、お互いのパイを大きくする関係が望ましい。」と述べました。
田中札幌市副市長は、札幌市の概要及び札幌市と中国、韓国との交流の状況について紹介した後、ITを中心とした交流・連携をめざし、札幌とアジア各国のIT関係者が、交流し、ビジネス連携を実現する「eシルクロード構想」を披露しました。
夏大連市長は、発展を続ける大連市の現状を紹介し、これまで大連市の発展に果たしてきた日本、韓国企業の役割について高く評価した後、さらに日本、韓国との協力関係を推進するため外国企業へのサービス、在日韓事務所開設など更なる積極策を採ることを表明しました。
【学識経験者発表及びディスカッション】
4月27日(火)の午前は、ディスカッション行われました。討論に先立ち、中国吉林大学北東アジア研究院李玉潭院長、日中経済協会北京事務所齋藤圭介所長、韓国仁川大学北東アジア国際通商学院朴済勲教授がそれぞれ発表を行いました。
李院長は、中国東北地域旧工業地帯の現状を紹介し、東北部が重化学工業施設、人的資源、インフラ、北東アジアにおける地理的位置など比較優位にあることを強調した上で、「中国東北部と日韓両国には経済的補完性がある。東北振興戦略は日韓両国との経済協力に新たなチャンスを提供する。また、東北旧工業基地振興への参入は、東北経済振興だけでなく日韓経済発展にも有利である。」と述べました。
齋藤所長は、日本の地域経済とその振興策の現状を紹介し、日本の地域が中央政府を飛び越え、直接外国と交流している例を具体的に示しました。そして、「日中韓のそれぞれの地域が今後、信頼関係の構築に向け、投資、貿易、観光などの分野で直接交流し、地域経済の発展に貢献するとともに、国境を越えた融合を目指すべきだ。」と述べました。
朴教授は、中国経済の台頭により北東アジア時代が到来したと指摘し、「今後、同地域が世界経済の一つの中心軸として発展するためには、将来EUのような北東アジア共同体を実現し、地域統合を図っていく必要がある。そのため、将来、アジア地域をリードする次世代のリーダーを養成する機関を日中韓3か国共同で設立すること提案する。」と述べました。
3人の発表ののち、前日の発表者の方々に登壇していただき、今後の地方交流と地域経済発展のあり方について活発な討議が行われました。また、限られた時間ではありましたが、会場からも発表者の方々に対し質問が出されました。特に北東アジア地域の経済発展と中国東北部の振興に関する質問が多く出されたことが印象的でした。
【視察】
午後は、大連経済開発区の視察を行いました。まず、開発区全体が見渡せる童牛嶺において開発区全体の説明を受けた後、大連三洋製冷有限公司(日資企業)、大連浦金鋼板有限公司(韓資企業)、大連ディーゼルエンジン工場(中資企業)を見学し、発展する大連経済の現場を実感しました。
【展示ブース等】
また会場ホテル内には、セミナーに参加していただいた方々に対し日中韓3か国の地方政府を紹介するブースを設けました。各地方別に設けられたブースでは、セミナーに参加していただいた各地方政府(自治体)の皆様のご協力により、ポスターの掲示や観光パンフレット、ノベルティグッズの配布などを行い、セミナーに一層の華を添えていただきました。日本からは14の団体が展示に参加しました。
【瀋陽市】
大連での日程は27日の視察を持って終了となりましたが、同日夜、一部の参加者は列車で瀋陽に移動しました。
28日(水)は、瀋陽市内において企業視察等を行いました。途中、一行は遼寧省副省長と会見を行いましたが、副省長が、「今回のセミナー参加者が、大連セミナー終了後、特に瀋陽まで足を伸ばしてしてくれたことに対し大変感謝する。」旨の言葉を述べていたことが大変印象に残りました。
今回のセミナーは中国外交部、自治体国際化協会北京事務所、韓国地方自治団体国際化財団北京代表処が共同で開催した初めてのセミナーでした。お忙しい中をわざわざ日本から来ていただいた岩手県及び札幌市の関係者の方々をはじめ、在中国政府機関、自治体事務所、企業など参加者の皆様に心から感謝を申し上げます。
(注)各発表者の発言要旨は、当事務所の責任によりまとめたものです。

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