| 2007年度自治体職員協力交流事業 研修員、日本に向け出発 |
| (所長補佐 和光達夫(山梨県派遣)) |
自治体職員協力交流事業は、海外の地方自治体等の職員を「協力交流研修員」として日本の地方自治体が受け入れ、地方自治体の持つノウハウ、技術の習得を図るとともに、地方自治体の国際化施策等への協力を通じて地域の国際化を推進することを目的に、総務省、クレアの協力の下、日本の地方自治体の事業として実施され、1996年度の開始以来これまで32カ国から合計791名の研修員が参加しています。
5月20日早朝、中国から2007年度の研修員23名が日本に向けて旅立ちました。この前日の5月19日、北京市内のホテルにおいて、クレア北京事務所主催による歓送会を開催し、研修員のほか、外交部、共青団、過去にこの事業に参加した元研修員など、計43名が参加しました。研修員は、来賓の方々から激励を受けたり、過去の参加者の経験談を聞いたり、日本の地方自治体の状況をクレア北京事務所職員から聞いたりして、研修前の最後の夜を楽しく過ごしました。
研修員は日本に渡った後、地方自治体等において、半年から10カ月にわたり研修を受けることとなります。はじめの1カ月間は、日本語学習や地方自治制度、日本文化等についての全体研修を行います。その後、各人それぞれ事前に決められた日本各地の地方自治体に配属され、専門研修を受けることとなります。専門研修の分野は、一般行政、環境、経済、教育、農業など多岐にわたっています。
過去の参加者は、研修で得た貴重な経験を自国で活かすとともに、日中友好の架け橋として活躍しています。また、この事業を契機として、日本の地方自治体と中国地方政府との友好交流関係の促進にも役立っております。
クレア北京事務所では、今後益々この事業が日中双方にとって有意義なものとなるよう取組みを進めてまいります。
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歓送会(北京市) |
研修員と当事務所職員との歓談 |
| 日本産果実の対中輸出の意義と可能性について |
| (所長補佐 菊池礼仁(青森県派遣)) |
1 はじめに
経済発展に伴う消費者購買力のアップ、日本食の人気、食の安全・安心に対する意識の向上などを背景に、日本の地域特産品の中国(※1)への輸出が増加しています。2007年5月現在日本から中国に輸出できる果実はリンゴとナシだけですが、表1のとおり輸出量が増加していることや台湾への輸出量が既に2万トン近くに上ることもあって、今後の増加への期待感が高まっています。

2 中国では果実輸入が大幅増加中
中国は、世界最大の果実生産国です(表2)。日本から輸出できる品目をみてみると、リンゴ・ナシともに生産量世界1位で、リンゴは世界生産量の3分の1超、ナシは同2分の1超を生産している状況にあります(表3、4)。
WTO加盟に伴う経済自由化に加え、鮮度保持・貯蔵技術の向上や流通ルートの整備もあり、中国における果実の輸出入の規模は近年大幅に増加しています。
輸入についても、生食に加えて、ジュース・缶詰・菓子などの加工消費が増加していること、パイナップル・マンゴーなど消費品目が多様化していること、食の安全・安心に対する意識やブランド志向が高まっていることなどを背景に、急激に増加しています。2005年の輸入額を2001年と比較してみると約1.9倍となっています(表5)。
高い経済成長に伴う富裕層の増加、マーケット規模の大きさなどから、益々の増加が見込まれており、世界各国がこの市場を狙って激しい競争を繰り広げています。

3 日本では国外輸出への期待が高揚
日本では果実の国内消費量が減少傾向にあり(表6)、しかも若年者の消費が中高年者に比べて少ないこともあって、将来的に需要が減少していく恐れがあります。
また、低価格の外国産果実輸入量が年々増加していることもあって、国内生産量が後継者不足などにより減少している中であっても、消費チャンネルを開拓することの意義は大きいと考えられます。しかも高付加価値商品を販売できるとなれば尚更です。
更に、国別輸出先内訳を見ると、リンゴ・ナシともに、台湾と香港がその大部分を占めています(表7)。これらの状況から、中国大陸部の輸出への期待が高まることは、当然のことと言えるのかもしれません。
4 今後の可能性と課題
中国での果実の小売りは、以前は自由市場などの露天販売が主な形態でしたが、近年は一般商店やスーパーマーケットでの販売も大きなウエイトを占めるようになっています。これらスーパーマーケットでは、販売方法も従来の「量り売り」から「パック販売」中心へと変わり、国内外の多種多様な商品が置かれています。外資系店では、高級果実の販売コーナーが設けられ、日本産を含む輸入果実が販売されている場合が多いです。
現状においては、この外資系店が外国産果実の主な販売場所となっており、市場の中で決して大きなシェアを占めるわけではありませんが、マーケット規模がどんどん拡大していることもあって、ブランドとして認知されさえすれば大きく増加する可能性があると言えます。
また、実際に上海や北京にある卸売市場に行ってみると、中国向けに輸出されたものはもちろんこと、他の地域、例えば香港向けの輸出果実が(転送されて)取扱われている場面に出くわすことがあります。正式の統計データ以上に需要があると考えてよいのかもしれません。
一方で、対中輸出には、輸出入手続の不透明さ、輸送管理の難しさ、輸入可能品目の少なさなどの課題があります。また、最も大きな課題として、中国産果実との価格差やそれに対応するためのブランド化が必要となります。
これらの課題は、一朝一夕に対応できるようなものではありませんが、官民一体で着実に取組みを進めることが将来の大きな成果に結びつくものと期待されます。
中国での実際の販売状況、中国消費者の嗜好、今後の展望などについては、今後別途記載します。
※1 本稿にて「中国」とは、「香港」「マカオ」「台湾」を含まない中国大陸部をさす。
| 初づくしの上海万博〜その概要と地方自治体関与の可能性〜 |
| (所長補佐 菅原大介(仙台市派遣)) |
■史上最大規模の万博
2002年12月、モナコのモンテカルロで開催された国際博覧会事務局(BIE)第132回総会において、上海万博(正式名称は2010年上海国際博覧会)の開催が決定しました。万博が発展途上国で開催されるのは、これが初めてです。
会期は2010年5月から10月までの半年間で、上海市南部・黄浦江を挟む浦東・浦西地区で開催されます。開催予定地では、既に住民の引越しが終了しています。
上海万博は、大阪万博(1970年)を超える万博史上最大規模のものを目指しており、総入場者数は約7,000万人(愛知万博の3倍以上、万博史上最多)、会場総面積は約530ha(同約3倍)、総事業費は286億元(約4,290億円、同約2.4倍)を見込んでいます。
■都市をテーマとする初の万博
上海万博のメインテーマは「より良い都市、より良い生活(Better City, Better Life)」です。上海万博は、「都市」をテーマとする初の万博でもあります。
都市人口が、2010年までに全世界人口の約55%に達すると予測され、都市化に伴いさまざまな問題が発生している中で、上海万博は、適度な経済発展、コミュニティの再構築、都市と地方の連携など、調和のとれた都市像について全世界にアピールするとともに、都市生活をめぐる諸問題の解決策を示すことを目標としています。
主な施設として、「都市発展における中華の知恵」をテーマとした『中国館』、「地球・都市・人」「未来都市の探索」「都市文明の足跡」「世界展覧博物館」から構成される『テーマ館』の建設が予定されています。 また、万博初の試みとして、『ベストシティ実践区』が設置されます。ここでは、「持続的発展とエコロジカルな都市」をテーマに、都市問題の解決に取り組む都市の模範的事例が紹介される予定です。
■大規模な再開発・マナー向上
現在、上海市では、万博に向けた大規模な再開発が行われています。
特に、交通網の整備が重要な課題となっています。浦東国際空港(市東部)・虹橋国際空港(市西部)における滑走路建設、リニアモーターカーの延長のほか、会期中は、会場への自家用車乗り入れを抑制し、公共交通機関利用の促進を図ることとしていることから、万博専用バス路線の建設や地下鉄路線の拡大(5路線から11路線)など、交通網の整備が急ピッチで進められています。
一方、五輪を控えた北京同様、上海市内でも市民マナーの向上にも余念がありません。市は、「做可愛的上海人(愛される上海人になろう)」というスローガンの下、専門部署を設けボランティアを募り、バス停や地下鉄構内で整列乗車を呼びかけるなど、市民マナーの向上に向けた取り組みを実施しています。ただ、これまでの習慣を急に変えることは難しく、ゆっくりと変化を見守る必要があるようです。
■地方自治体関与の可能性
上海万博は、スポンサーやライセンス商品の製造販売など、日系企業にとって大きなビジネスチャンスといえます。既に多くの代表団が上海万博準備機関(世博局)を訪れているほか、今年3月に上海市で開催された日本貿易振興機構(JETRO)主催の説明会には、日本人駐在員など約200人が参加するなど、関心の高さがうかがえます。
一方、地方自治体関係でいえば、上海市との友好都市・大阪が、大阪府・大阪市・関西経済連合会などと委員会を組織し、世博局にミッション団を派遣しています。上海万博を、大阪の魅力をPRする絶好の機会として活用したいと考えているようです。
また、東京都が同様にミッション団を派遣したほか、横浜市や愛知県、九州など万博に関心のある地方自治体においては、参加に向けた検討が開始されています。
では、地方自治体が万博に参加するためには、具体的にどのような方法があるのか、ご紹介します。
@日本政府館(パビリオン)への参加
従来、万博への出展に当たっては、政府が主導となり取り組みが進められていました。しかし今回は、初の試みとして、民間・国・地方自治体が出展内容や予算面で協力し、三者が一体となって取組んでいく方向で議論が進められています。
現在、国際博覧会に関する有識者懇談会に設置されている部会において、基本コンセプトの策定や日本が実施する万博関連イベントについて、検討されています。地方自治体も日本政府館の一員として、万博に参加できる可能性があります。
なお、部会における検討結果については、6月中に発表される予定です。
Aベストシティ実践区への参加
前述のベストシティ実践区の出展主体は、都市(自治体)とされています。出展方法には、組織者推薦による出展と自薦による出展の2種類があります。前者は、組織者が選定基準に基づき情報収集し、その中から出展都市(自治体)を選定するというものですが、後者は、公募により選定されることから、地方自治体にとって、万博に参加するチャンスだと言えます。
募集は、今年5月から開始されており、8月31日に締め切られます。その後、世博局、BIEや国連機関などが参加する国際選定委員会で選定されます。選定に当たっては、国際社会から広く認知されていること、イノベーションの度合い、事例としての価値が基準とされるほか、地域・民族等全体のバランスも考慮されます。最終的に、世界各地から30程度の自治体が選定される予定です。
観光PRを目的としたものではありませんが、中国、そして世界における知名度向上の一助になるものと思われます。
このほか、世博局主催の関連イベントも開催される予定です。現時点で詳細は不明ですが、こちらに参加するという方法も考えられます。
さらに、上海では日本の地方自治体による観光・物産のアピールイベントや商談会等が毎年たくさん行われていますが、万博開催前後、万博期間中はこれらの取り組みがさらに活発化することが予想されます。万博イベントの内容や日程を把握することは、これらの取り組みを効果的に行うためにも有意義であると思います。
■更なる発展と調和のとれた都市づくりのきっかけに
北京五輪と上海万博を控えた現在の中国は、東京五輪と大阪万博を契機に高度経済成長を遂げた日本と対比させることが多いと思います。中国政府が、五輪と万博を更なる発展のきっかけとして、そして世界のアピールの場として位置づけていることは間違いないでしょう。
また、少子高齢化問題、都市部と農村部の格差、環境問題といった都市問題の解決に挑戦している中国・上海市において、都市のあり方について考える万博が開催されることは、大変意義のあることだと思います。
中国・上海市が「より良い都市、より良い生活」にどこまで近づけるのか、大いに注目されます。
※上海万博の詳細に関しては現時点では不明な点が多く、今後徐々に決定されていくものと思われます。当事務所も
その動きをフォローし、適宜情報提供していきます。
【関連URL】
○日本貿易振興機構ホームページ
・上海国際博覧会の概要や世博局からの情報等(日本語)
http://www.jetro.go.jp/matching/j-messe/expo2010china.html
・「ベストシティ実践区」出展募集公告(日本語)
http://www.jetro.go.jp/matching/j-messe/pdf/expo2010china/oshirase20070517.pdf
○上海世博局ホームページ(中国語・英語)
http://www.expo2010china.com/expo/shexpo/index.html
| テレビを活用したPR〜上海のテレビで中央道ツアーと福島県が紹介されました〜 |
| (所長補佐 菅原大介(仙台市派遣)) |
旅行博覧会への出展、中国旅行社への働きかけなど、中国人観光客の誘致に向けた取り組みにはさまざまな方法があります。「これは」という決め手はない中、テレビを活用したPRは効果的で、影響力がある方法の1つです。実際、中国の方に「どうしてその地名を知っているのですか」と尋ねると、ほとんどの場合「テレビ(ドラマ)で観たことがある」という答えが返ってきます。
しかし、中国(特に中国本土)のテレビ番組で日本の情報が取り上げられることはほとんどなく、またテレビCMを流すにも放映料の高さがネックとなっています(表参照)。
(表)広告放映にかかる費用(中国中央電視台の例)
放送時間帯等 |
5秒 |
10秒 |
20秒 |
30秒 |
| 11:57(ニュース30分前) |
420,000 |
630,000 |
1,080,000 |
1,425,000 |
| 21:38(ドラマ後) |
690,000 |
1,035,000 |
1,755,000 |
2,325,000 |
| 21:55(ブランド時間) |
570,000 |
855,000 |
1,455,000 |
1,920,000 |
(出所)「北京衆邦創業投資顧問事務所」委託調査の結果を基に作成。単位は円(1元=15円で計算)。
こうした中、「東京印象(http://www.roxyshanghai.com/jp/index.htm)」という番組において、「中央道ツアー」「福島県」の観光地が紹介されました。
この番組は、上海東方電視台(テレビ局)文芸チャンネルで週1回各30分間放送されているものです。もともとは東京の最新情報を紹介する番組でしたが、今年1月から日本全国の情報を紹介する番組に変わり、今回の企画が出てきました。
両者のケースとも、国際観光振興機構(JNTO)上海事務所の紹介がきっかけとなり実現したものとのことです。中央道ツアーのケースでは、東京を起点として、中央道沿線の山梨県、愛知県、長野県を巡る旅という点が良かったこと、福島県のケースでは、番組制作会社に対するアピールに努力したことが、番組で取り上げられる決め手となったようです。撮影は、テレビスタッフを日本の現地へ取材招へいし、地元関係者の協力の下、行われました。
中央道ツアーは、1月27日山梨県特集、2月3日長野県特集、2月10日愛知県特集として、福島県は、5月12日、19日、26日、6月2日の4回にわたり放映されました。放映料は無料、またテレビ局が版権をもつ訳ではないので、放映後は日本側も自由に観光PRなどに活用できるとのことです。
東京印象の視聴可能人口は1億3,000万人、平均視聴率は2.3%と言われているので、単純計算すると約300万人に対して一度にPRできることになります。数字だけを見ても、その効果は非常に高く、中国人の間での知名度向上に大きく寄与することは間違いないでしょう。
今回の取り組みを振り返り、長野県上海事務所の青木所長は、「長野県では、今回放映した番組内容をDVD化し、その後のPRツールとして活用しており、むしろ番組放映後の効果が大きいと考えています。『東京印象』は中国全土で視聴できるわけではありませんが、上海東方電視台というメジャー局が『長野県特集』を30分放映したという事実自体が大きなPR材料となっているわけです。通常の観光PR用のDVDを渡した場合と比べても、旅行会社などの寄せる関心は高く、展覧会などで放映しても、足を止めて観ていただく一般の方の数も明らかに増えたように思えます。」と、また福島県上海事務所の安達所長は、「日本人が好む人気観光スポットと中国人のそれとの相違点がわかったような気がします。また、このテレビ放映はゴールではなく、今後さらに具体的なツアーの催行に向けた取り組みが必要であることを実感しました。」と、話しています。
テレビを利用したPRは、次の点でとても効果的なものだといえます。
1 日本紹介番組の視聴者のほとんどが、日系企業で働く人や日本語を学ぶ学生など、日本に関心のある人であり、
将来訪日旅行者となる可能性が高い人に対して効率的・効果的にアピールできること。
2 実際の映像によりその土地のイメージを伝えられることはもとより、中国人の視点で番組制作が行われ、中国人の
口から日本の魅力が伝えられることにより視聴者(中国人)の共感を呼びやすいこと。また、日常の話題に上ること
も考えられることから口コミ効果も期待できること。
特に、中国のマスメディア側から日本の地方自治体を取材してもらえれば、放映料など費用の問題もなくなり、地方自治体にとっては非常に好都合といえます。中国マスメディアとの連携強化も視野に入れ、中国人観光客誘致活動に取り組むことは大変有意義であると思います。

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