日本国自治体国際化協会北京事務所
Council of Local Authorities for International Relations(CLAIR),BEIJING


 北京事務所活動内容

第4回日中地域間交流推進セミナー報告

はじめに

  第4回日中地域間交流推進セミナーを、当事務所主催、中国外交部外事管理司、新疆ウイグル自治区人民政府の共催、在中国日本国大使館、中国日本友好協会の後援の下、7月27日〜29日に新疆ウイグル自治区ウルムチ市で開催。「相互にメリットのある新しいタイプの日中地域間交流」をテーマに今後の地域間交流のあり方について討論を行うとともに、ウルムチ市及びトルファン市への行政視察を行った。セミナーには日中両国の自治体関係者、企業関係者など併せて150名余が参加。また、本セミナーの開催に併せ、日中双方の地方自治体及び地方政府を紹介する展示ブースを設置するとともに、元国際交流員(JET-AA)による意見交換会を開催した。なお、主な発言概要について以下のとおり報告する。

 

開会挨拶

紀内骰G(当協会理事長(当時))

  日中の地域間交流についても、これまでの相互理解と友好親善を目的としたものに加え、近年では、経済情勢の変化等を的確に踏まえた相互にメリットのある交流を多様な形で展開していくことが強く求められるようになっている。このセミナーが、両国及びそれぞれの地域の立場や見解についての認識を深め、相互理解を増進させるとともに、新たな段階に入りつつある両国の地域間交流を推進するための契機となることを心から期待している。

<挨拶原稿>

 

鄭 祥林氏(外交部外事管理司副司長)

  昨今の中日関係の情勢下において、中日地方交流推進セミナーを開催し、両国の地方交流のあり方や相互協力について意見交換するとともに、WIN-WINの関係構築を目指すことは、重要な意義を有すものと信じている。我々としても相互協力を強化し、両国関係の改善と更なる発展に資することができるよう努力したい。

<挨拶原稿>

 

講演

劉 怡氏(新疆ウイグル自治区副主席)

  中日双方の修学旅行の相互実施、中日地方間の航空便の増加に係わる課題、環境保全分野における協力などをめぐる議論を通じて、中日両国地方政府間の交流と連携関係はさらに強固なものとなり、中日両国間の友好関係の一層の発展に寄与するものと確信している。セミナーを契機に、日本の都道府県や市町村と新疆各級地方政府間の交流が多角的、多チャンネルにわたって行われ、多様な形式の経済提携が実現されたらと願うと同時に、日本の皆様の新疆に対する理解が一層深まり、中日両国人民の間の友情がさらに増進することをこころから祈念する。

<講演原稿>

 

高橋正樹氏(新潟県副知事)

  新潟県では、地理的条件を活かし、北東アジア各国との交流を推進しながら「北東アジア交流圏(経済圏)」の形成を図ることにより、この地域の平和と発展に貢献することを目指している。これまで本県では、主に黒龍江省とJICA(国際協力機構)やJBIC(国際協力銀行)と連携し、医療、寒冷地舗装、人的交流などの分野で技術協力事業を実施してきた。今後は、新疆ウイグル自治区を含む中国内陸部から県内大学・学術機関への研究者・留学生受入を強化し、人的ネットワークの拡充を図るとともに、今回の私の訪問が、自治区との具体的なプログラム推進のキッカケになれば幸いである。本県にとっての国際協力の意義は、第一に北東アジア交流圏の形成と本県の拠点性の向上、第二に国際協力を通じて新潟のアイデンティティーの確立や地域産業の活性化などの地域づくり、第三に国際協力を通じて県内に専門家が育ち、また、協力に関わる県民の国際意識やボランティア精神が涵養され、国際的な人材が育成されることである。今後は、双方向交流実現のため、関係地域の連携・協力を通じて、互いにメリットのある交流に向け努力する必要がある。中国団体観光客へのビザ発給対象地域が全土に拡大し、日中交流がさらに拡大されることが期待される。中国側地方政府と日本側地方自治体が外国向けにホームページなどのITを活用した情報交換促進を進めることにより、まず、情報分野での双方向交流を実践していきたい。

<講演原稿>

 

黄 中瑞氏(長沙市副市長)

  長沙市と鹿児島市は、友好都市提携の調印以来、23年にわたり両市の交流が頻繁となり、友好関係は絶えず深まり、交流分野も次第に広がった。双方は、人材、経済貿易、文化、体育、科学、教育、観光等の分野で実のある交流と協力を展開している。今後、長沙市は日本との地方交流及び協力を一層強化し、絶えず交流の力を増して領域を広げながら、友好都市の鹿児島市と交流を展開する同時に、他の日本の都市とも交流を強化していく考えである。これによって、経済、文化、科学、教育、商業、貿易、観光等あらゆる分野の交流と協力を実現し、長沙と日本の交流の新しい光を創造していきたい。

<講演原稿>

 

山野 宏氏(福岡市副市長)

  福岡市は国境を越えてアジアを一つの圏域としてとらえた観光プロモーションを展開することで、中国や韓国とともに外国人観光客を増やしたいと思っており、韓国・釜山市やアジアの主要50都市とともに「アジア太平洋都市観光振興機構(TPO)」を組織し、アジア地域全体で相互にメリットのある共同事業の実施に向け取り組んでいる。かつて日本における大陸文化や貿易のゲートウェイであった福岡は、現在でも日本とアジア諸国の交流拠点として、最適の位置にある。福岡・九州には緑豊かな雄大な自然景観や温泉、祭り、文化施設などたくさんの観光的魅力にあふれている。日中両国の経済は、貿易や投資の双方向化が進展し密接な相互補完の関係にある。両国経済を拡大均衡の関係に発展させるためには、双方が投資環境を整備し、新しい時代を担う人材開発や社会・文化理解など複合的交流拠点を形成して都市間交流を促進させることが重要である。

<講演原稿>

 

王 路氏(海口市副市長)

  海口市は「環境こそ生産力、環境こそ生命力、環境こそ競争力」という言葉から、「海口市を、華南地区と熱帯地区のガーデンシティ、国内外からの別荘地、熱帯海浜国際都市にしよう」という都市発展戦略を掲げ、都市建設のテンポを上げるとともに、都市に住む人の居住環境を目に見える形で変えている。また、工業化、現代サービス化、都市化が経済発展を牽引していくという、いわゆる「三頭立ての馬車」を堅持するとともに、科学的な都市計画で美しい緑化国際都市を作り上げることを目標とし、都市環境の改善と保護に重きをおいている。海口市が一流の環境緑化を保った、住みやすい都市で、熱帯リゾート、南海海洋生態産業基地、国家歴史文化都市、また、実力ある経済都市といった各種機能を併せ持つ、サービス施設のもっとも優れた「娯楽の都」になることを確信している。

<講演原稿>

 

江原規由氏(JETRO北京センター所長)

  中国経済は、外向的展開と内向的発展の同時進行の時代、即ち、地球的規模の「走出去」と中国国内全域での「引進来」の時代が到来した。この「走出去」と「引進来」の主役は、今やM&Aになりつつある。中国大手企業によるM&Aばかりでなく、中国の中小企業のM&A方式による「走出去」が増えており、日本へ進出した中国企業の多くがM&A方式をとっている。中国は、「走出去」の時代を迎え、世界経済に新風を吹き込んでいる。国際交易上の「海の道」と「陸の道」が結ばれ、かつ「歴史の道」と「21世紀の道」が交叉する中国内陸地区は、目下、世界の最大関心事である資源・エネルギーおよび環境問題と向き合った関連ビジネスなどでも大きな経済交流の機会に恵まれている。中国の「和平崛起」を実現する現場にある。

<講演原稿>

 

杜 鋼建氏(中国公共政策委員会秘書長)

  相互にメリットのある新しい中日地方交流を推進するためには、1.地域資源を活かした観光産業の振興、2.投資招致の促進、3.学校の共同運営、4.地場産品の販路開拓、5.環境協力の強化や緑色GDPの増長などの観点が重要である。そのため双方の地方政府が積極的に取り組む必要がある。

<講演原稿>

 

田辺輝行氏(日本国際協力銀行NGO・地方公共団体担当審議役)

  日本国際協力銀行では、「対中円借款における地域間交流支援」として、1.国際協力銀行による地方自治体、大学等との連携、2.提案型調査・発掘型案件形成調査などの分野において事業を行っている。なお、今後、環境分野においては、CDM(クリーン開発メカニズム)事業にも注目すべきである。

<講演原稿>

 

趙 尓力氏(黒龍江省外事弁公室副主任)

  我々は、日本と1.国有企業改革面の協力、2.近代農業発展面における協力の推進、3.観光と近代物流等の分野の協力、4.社会事業分野の協力の強化、5.振興工業園区の協力強化、の分野で新たな協力を実現することを心より希望している。

<講演原稿>

 

藤谷浩至氏(国際協力機構中国事務所次長)

  JICAでは、近年、環境、感染症対策などを重点に中国において事業を行っている。また、地方自治体との関係では、技術研修員や招聘青年の受入、専門家派遣等で日本の多くの地方自治体から協力を得ている。

<講演原稿>

 

楊 徳魁氏(福建省外事弁公室副主任)

  1.友好都市を活用した積極的なトップレベルの相互訪問の推進、2.友好都市を土台にした経済、貿易、科学技術協力による外資導入及び技術導入の促進、3.友好都市をきずなにした国外の経験の学習、専門家の受け入れ、人材育成、4.友好都市をルートにした多分野にわたる交流と協力の展開、が重要である。

<講演原稿>

 

藤村修治氏(日本国際交流基金北京事務所)

  国際交流基金では、1.文化芸術交流、2.海外での日本語教育、3.日本研究・知的交流、4.日米センター(CGP)事業、5.情報提供などの活動を行っている。

<講演原稿>

 

  その他、日中の新たな交流活動の参考とするため、当協会の生嶋文昭シンガポール事務所長から、東南アジア諸国と日本の地方自治体との交流について紹介がなされた。

<講演原稿>

 

パネルディスカッション

  講演後、セミナーのテーマである「相互にメリットのある新しいタイプの日中地域間交流」について、江原規由氏(JETRO北京センター所長)、田邊輝行氏(日本国際協力銀行NGO・地方公共団体担当審議役)、杜鋼建氏(中国公共政策委員会秘書長)、姜述賢氏(中国国際交流協会理事)、佐々木克樹氏(クレア北京事務所長)によるパネルディスカッションを行った。パネルディスカッションでは、主に、環境や観光分野での技術協力や人的交流における連携のあり方について議論があり、今後、幅広い分野での連携を深めるためにも、地方自治体や地方政府、JICA、JETRO、クレアなどの多くの機関との連携による新たな地方政府間交流の必要性について、認識を共有した。

 

終わりに

  日本と中国の自治体を取り巻く環境は、大きく変化している。こうした中、本セミナーの開催は今後とも重要な意義があると考えている。当事務所では、そうした動向を踏まえ、さらに内容を充実していきたい。また、今回のセミナーで討論した課題や提言を国際交流に反映させるため、日中双方の関係機関が今後、更に協力して行動する必要がある。

  なお、今回のセミナー開催にあたり共催、後援いただき多大なご協力をいただいた中国外交部、新疆ウイグル自治区、在中国日本国大使館、中国日本友好協会をはじめ、お忙しい中、ご出席いただいた新潟県、福岡市及び在中国自治体事務所、関係団体の皆様方に心から感謝を申し上げる。

<参考資料(セミナーの展開)>

<参考資料(各自治体等の農産物輸出の取り組み)>

<参考資料(大分県資料)>

<参考資料(CDMと日中地方政府のかかわり)>

<参考資料(教育旅行)>

 

注:上記の挨拶、講演などの発言要旨については、当事務所の責任において要約したものである。

 

紀内理事長の挨拶 セミナーの様子

セミナーの様子 パネルディスカッションの様子

展示ブースの様子 展示ブースの様子

 


 
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